Column

第5回 はじめの一歩

 秋は色んな表情を持った季節です。「読書の秋」「スポーツの秋」「芸術の秋」・・・などと言われるように、春の新学期ではなくても私たちに何か新しいことに挑戦したい気分にさせてくれます。
思い返すと私がある新しいことを始めたのもちょうど3年前の秋でした。その頃の私は、何かにつけて「仕事が忙しいから」を理由に「いつもの毎日」を繰り返していました。平日は、朝ギリギリの時間に起きてばたばたと出勤、帰ってくれば何とかご飯を胃に流し込みバタンキュー。休日は友人たちと会う予定がたくさん詰め込み、結局朝から晩まで出掛けっ放し。そしてまた月曜日を迎えるという日々で、充実感はいっぱいでしたがなんだか時間と予定に追われていることから目を背けていた感もありました。
その頃お仕事ではフィットネスクラブの中でアロマの香り空間を創ることが多く、営業に行く度に今のうちからきちんと運動したほうがいいですよ、とアドバイスをいただくものの、毎日自転車通勤で運動しているので大丈夫です!とたかだか片道3キロ15分のことを自信満々に「運動」と言ってのける始末。しかしながら体は正直に反応します。営業仕事で長距離運転をすれば腰が痛い、出張で新幹線に乗れば脚がむくんだ、と言って整骨院に駆け込みマッサージや電気を流してもらう頻度が高くなっていました。
そんなある日、同僚が職場にとっても大きな荷物を持ってきたことに気づきました。なんとそれは“ジャンベ”(=西アフリカ一帯で伝統的に演奏されている深胴の片面太鼓。Wikipediaより)だったのです。聞くとそれは彼女が新しくはじめた習い事で、無心にジャンベでリズムを打つと仕事のモヤモヤや日頃のストレスがすっきりするので、すっかりはまっている、と。そして、習いに通うために週に一度はだらだらと残業はせずにさっと仕事を切り上げ、その代わり朝少し早く会社に来ているということ。
当時の私には衝撃でした。当たり前のことですが、時間は自分で作ること。自分のために時間を使うこと。自分の「好き」を見つけること。その頃の私には何一つできていないことでしたが、以前から憧れていたような、大きな刺激を受けました。